めそブ

凡人の凡庸で月並みなブログ

flower

おおかみこどもの雨と雪』を観た。

タイトルに「雨と雪」とあるわりに主役はもっぱら母の「花」で、彼女の普通でない半生の物語。

若くして浅はかに散った狼男の夫、人ではない血を受け継いでひたすら面倒臭い子供二人、若くして波乱の人生に自ら飛び込み、翻弄されるまくる母親の花。

ラストはハッピーエンド的に演出されているが、人の心を持ったまま獣に回帰した弟の選択した人生が、過酷であろうことは明白だし、両親と似た過程を歩むであろうことが暗示される姉の人生もまた、両親同様の辛い葛藤を背負う運命にある。

この二人の子供の未来は、決して明るいものだとはいえないし、ハッピーエンドと割りきるのは、自分にはやはり浅はかに思える。

この作品のテーマは「親子」だという話だが、自分が観る限り、そうしたニュアンスはあまり伝わってこなくて、たぶんそんな筋書き的なものよりも寧ろ、一人の女性の「笑顔」に終始する物語が描きたかっただけじゃないかと感じた。

娘の記憶に印象深く残る母の「笑顔」の裏側、笑みに秘められた子供には分からない(あるいは「子供であるうちは分からない」)、血と汗と涙と、その刻まれた歴史……というやつが描きたかったのではないかと。

やっぱ主役は「花」じゃないか。